21466 船木研児(鳥繪彩文大鉢)FUNAKI Kenji

高さ(約7.7cm) 径(37.4cm)

船木研児:島根県で生まれた陶芸家
布志名焼窯元・船木道忠の長男として育ち、家業を手伝うために学校を中退して作陶を開始
イギリスに渡りバーナード・リーチの工房で修業を積み、国内外の公募展で活躍
伝統の布志名焼の技法とヨーロッパで学んだスリップウェアの技法を使い、具象的な絵柄で独創性の高い作品を制作
また、江戸時代の古布志名焼の黒釉を現代感覚にあわせて復興させた。

スリップウェア(Slipware)の技法を用いた作品。
スリップウェア(Slipware)とはヨーロッパなど世界各地で見られた、古い時代の陶器の一種。器の表面をスリップ(フランス語版)(エンゴーベ)と呼ばれる泥漿(でいしょう、水と粘土を適度な濃度に混ぜたもの)状の化粧土で装飾する方法が特徴。近年でも陶芸家によって作品が作られている。

スリップウェアは進んだ陶磁器技法の普及や産業革命による大量生産品の普及とともに廃れた。しかし20世紀になって見直されこの技法を使う陶芸家やメーカーも多くある。そのうち、バーナード・リーチや富本憲吉は1913年に東京の丸善で購入したチャールズ・ロマックスの『古風な英国陶器』という本の中で、初めてスリップウェアの存在を知った。リーチと濱田庄司は1920年にイギリスに渡り、セント・アイブスの彼らの窯の近くでスリップウェアの破片を見つけるとともに現存するスリップウェアを収集し、1924年に濱田が日本に持ち帰った。柳宗悦や河井寛次郎もこれを目にし、彼らの作陶や民芸運動に強い影響を与えた。その後、布志名の船木道忠が独自のスリップウェアに取り組み、その息子、船木研児、倉敷の武内晴二郎らも引き続き独自のスリップウェアに取り組んだ。後年、丹波の柴田雅章によってイギリスのスリップウェア技法が明らかにされ、芸術新潮(2004年)の紙面において技法公開がなされた。